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蝶が舞う時
第15章 提示
俺と菜摘は暫く下半身が裸のまま、唇を重ねて抱き合った。

何度も舌を絡ませ、菜摘を離さなかった。

やがて唇を離すと、菜摘は微笑んで

「おじさん、大好きよ!」

そして自分から唇を重ねてきた。



それから俺と菜摘は下着と服を着てカートへと戻った。

下ってきた小道を戻り、先程のカーブ手前の道にたどり着いた。

「さてと…菜摘、これから牛が放牧されている草原に出るらしい。」

「今度は草原ね。」

緩やかなカーブを曲がると今度は登りに入った。

菜摘は俺の左手を握ったまま、周囲の景色を眺める。

カートが低速でやっと登りつめると、そこからは起伏のある大草原が広がっていた。

「凄い……、大草原だ……」

「おじさん、まるで緑色の絨毯が永遠に続いているみたい……」

「あっ、おじさん、牛があっちこっちに沢山……」

「おっ、本当だ……」

「昨夜のステーキかなぁ?」

「もう…おじさん、夢が萎むじゃない!」

俺は笑いながらカートを進める。

ちょうど草原の真ん中に道が通っていて、左右に牛が放牧されていた。

「こんなに沢山の牛を見るのは初めて。」

菜摘はスマホで撮影し続けた。

暫く進むと屋根付のベンチが見えてきた。

「菜摘、ここでお昼のランチにしよう!」

「はーい。」

カートをベンチの横に停めて降りる。

俺が煙草を一服している間、菜摘はカートから籠を降ろしてベンチに移動した。

「おじさん、準備できたわよ。」

「ああ…」

ベンチの前の石造りのテーブルに松花堂弁当が二つと冷たいお茶が二つ。

俺がベンチに座ると

「はい、おじさん。」

菜摘がおしぼりを手渡した。

「おっ、ありがとう。じゃ、食べよう。」

「いただきまーす。」

弁当の蓋を開けると二段になっていて、色彩豊富なおかず類と俵型のおにぎりが詰まっていた。

「美味しそうだ!」

俺と菜摘は時折牛を眺めながら弁当を食べた。

「菜摘、菜摘は高校生の時、成績はどうだった?」

「おじさん、何、突然に……」

「いや…菜摘が高校の時はどうだったかな?と思って…」

「悪くなかったよ。高三の時は理系のクラスで一番だったから…」

「凄いじゃないか! 一番なんて…」

「でも夏休み位から下がっていった。」

「どうして?」

「お父さんが再婚して、進学する気が無くなったから…」







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