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蝶が舞う時
第18章 苦悩
センター試験2日目も無事終了して、とりあえず一山越えた。

結局、菜摘はこのセンター試験で約85%台の得点を確保した。

この結果を予備校に伝えると、今年の予備校生でセンター試験を受けた中ではトップだった。


「菜摘、残るは大学の二次試験だな。」

「おじさん、二次試験は数学と化学と生物だけだから…」

「菜摘は合格するよ。」

「もうわかるの?」

「この前、夢の中で菜摘が病院で診察していた…」

「誰を?」

「わからない、おじさんではなかったよ。」

「ふ~ん」


センター試験が終了した時点から、菜摘は数学と理科の講義がある時だけ予備校に通った。

マンションでの学習時も菜摘が集中出来るように、俺は極力静かに見守っていた。



3月に入り、試験の当日がやってきた。

菜摘を試験会場の大学まで送り

「さあ、菜摘…この試験で最後だ、頑張ってこい。」

菜摘は軽く頷き

「じゃ、行ってくるね!」

菜摘が親指を立てると、俺も親指を立てて送り出した。

今回、この大学の医学部は募集定員80名に対し応募者は662名、競争率は約8.1倍の難関となった。

俺は今回はマンションに帰らず、菜摘の試験が終わるまでここで待つことにした。

( 長い菜摘の戦いが終わるといいが…)

( 神様…菜摘を合格させてくれ… )



午後3時、試験は終了した。

しばらく待っていると受験生が現れ出した。

受験生の表情は様々で、手応えを感じている者や不安気な顔つきの者。

受験の合否が彼らの将来を左右する。

そんな中、菜摘が出て来た。

菜摘の表情は何時もと変わらない…

菜摘が車に乗り込み

「ああ…やっと終わった!」

「菜摘、お疲れさん。よく頑張ったな。」

「おじさんがいたからよ。一人じゃ出来なかった。」

「とりあえず、帰ろうか?」

「そうね、帰って少し眠りたい…」

俺と菜摘は何処にも寄らずマンションに戻った。


マンションの部屋へ入ると菜摘はそのままベッドルームに向かい、眠りに落ちた。

俺は今夜の夕食のメニューをしばらく考え、結局カレーを作るために近所のスーパーへ買い出しに出かけた。

菜摘が目覚めたのは、それから3時間後の夜8時前。

俺は既に夕食を作り終え、リビングで珍しくテレビを観ながら菜摘が起きるのを待っていた。







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