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蝶が舞う時
第19章 運命
合格発表の日が訪れた。

俺が目を覚ますとベッドには菜摘がいなかった。

ベッドルームを出ると、菜摘はキッチンで朝食の準備をしていた。

「あっ、おじさんお早う。」

「おお、お早う。菜摘…早いな。」

「おじさん…もうすぐ9時になるよ。」

「そうか…そんな時間か…」

俺は洗面所で歯磨きと洗顔を済ませてからキッチンのテーブルについた。

コーヒーを一口飲み、

「いよいよ来たな。」

「発表は12時からよ。」

「じゃ、食べ終わったら、支度を始めるか…」

「そうね、ちょっと早いけど…」

俺と菜摘は朝食を食べ終え、後片付けを済ませてからマンションを出た。

まだ時間的に早いので途中、駅前の雑貨店に立ち寄り台所用品を見て回った。

ここから大学までは、車で20分の距離。

俺は逸る気持ちを抑え、雑貨店を出た。


大学に着いたのは12時10分前だった。

菜摘と車を降りて指定された掲示板の設置場所へ向かう。

しばらく歩くと前方に黒山の人だかりが見えてきた。

既に掲示が始まっていた。

掲示板の前でガッツポーズをする人、抱き合って喜び人、木陰に隠れて泣いている人。

様々な人間模様が繰り広げられている。

突然菜摘が足を止めた。

「どうした?」

「おじさん…見てきて。」

「大丈夫だよ。合格してるから…」

「お願い…おじさん…」

そんな菜摘を見つめて、俺は頷く。

俺は振り返ると黒山の中に入っていった。

掲示板に記載された医学部合格者の文字の横から、受験番号が290001から始まっていた。

290001、006,012、017……

俺は菜摘の番号067を探す……

053、059,064、そして067……あった……

俺は目頭から涙が吹き出してきた。

あった……

俺はゆっくり振り返り、不安気に見つめる菜摘を見てから手を握り親指を立てた。

菜摘は走って俺の懐に飛び込み、抱きついた。

「な、菜摘……やったな!」

「おじさん…わ~ん」

俺と菜摘は抱き合って泣いた。

涙が止まらなかった…

俺は今までの人生の中でこんなに感激し、こんなに泣いたのは初めてだった。


神様ありがとう……
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