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蝶が舞う時
第19章 運命
菜摘が大学の医学部に合格したことにより、今後の計画が組み立て易くなった。

合格発表があった夜、俺は菜摘を駅前の高級ホテルに連れていった。

「菜摘、今夜は合格祝いでここのレストランを予約した。」

「おじさん、大丈夫? ここ高そう…」

「菜摘は心配しなくていい…今夜は御祝いだから…」

ホテルの最上階にレストランがあり、夜景を見ながらシェフがステーキを焼いてくれる。

エレベーターで最上階に上がり、レストランの受付で

「予約していた東条ですが…」

「はい、承っております。こちらへどうぞ。」

店内は落ち着いた雰囲気で、中央にはグランドピアノが置かれて若い女性が弾いていた。

案内された席は、市街地の夜景が一望に見渡せる格好の場所にあった。

飲み物を注文し、スープや前菜が運ばれてきた。

グラスワインを持ち

「菜摘、おめでとう。よく頑張ったね。」

「ありがとう、でもおじさんのおかげよ。ここまで来れたのは…」

「おじさんは何もしていない、菜摘の努力でここまで来れた。」

「ううん、おじさんの力よ…」


シェフが登場してきてワゴンに設置された鉄板の上で、メインの和牛をカットしながら焼く。

シェフの手により、霜降りの和牛肉がミディアムレアに焼かれて、香ばしい匂いを発する。

適度に焼けた肉が、俺と菜摘のプレートに置かれていく。

「菜摘、旨そうだ、食べよう!」

「本当、美味しそう。」

一口サイズに切った肉を口に含むと、肉質は柔らかくとろける様な食感だった。

「おじさん、最高! 美味しい。」

「ああ、美味しいね。」

俺と菜摘は夜景を眺めながら、高級和牛を堪能した。

最後デザートになり、俺は菜摘を見つめて話し始めた。

「菜摘、菜摘が医学部に合格したことで、今後の計画をおじさんなりに考えた。」

「おじさん、話して…」

「大学の入学式を終えると、結婚式の準備をしょう。」

「どうするの?」

「どこか教会にお願いしょうと思う。」

「その前に菜摘のお父さんにお会いして、正式に報告する。」

菜摘は父親が登場したことで、険しい表情をした。

「菜摘が嫌ならおじさん一人で行くから心配ない。」

「仮に反対されても、菜摘は成人だから不都合はない。」

「おじさん、菜摘にはもう親はいない……」

菜摘は言い放った。

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