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蝶が舞う時
第19章 運命
4月に入り、菜摘の入学式も滞りなく終わった。

菜摘は大学生となった。

最初の二年間は一般教養過程の為、菜摘は余り面白みがないようだった。

そんな中、俺は菜摘の父親に会いに隣の市まで出掛けた。

前回対面した喫茶店で菜摘の父親と再会した。

俺は現段階までの菜摘との経緯を話して、結婚の了承を得たい旨を伝えた。

さすがに父親は、菜摘の結婚相手が俺だと知ると驚いた表情を見せたが、最後には「宜しくお願いします。」の返事が帰ってきた。

期待はしていなかったが、やはりこの父親には菜摘の存在は全く消えていた。

それと菜摘の母親の位牌を今後は俺と菜摘が管理したい旨も伝えると了承し、父親は一旦家に取りに帰った。

喫茶店で約一時間程待っていると、父親が紙袋を抱えて戻ってきた。

俺はその紙袋を受け取り父親と別れた。

今後この父親とは会うことは無いだろう…

菜摘が不憫でたまらない…

俺は菜摘を最大限に守ろうと決めた。

俺の命と引き換えても…



マンションに戻ると紙袋から位牌と母親の写真を出した。

菜摘は母親によく似ている。

リビングの棚に位牌と写真を置き、花とお供えを添えた。



大学から菜摘が帰ってきた。

菜摘は棚に位牌と母親の写真があるのに気がつき

「おじさん…ありがとう」

菜摘は位牌に手を合わせてから

「おじさん、来て。」

俺が菜摘の側に行くと、菜摘は俺と腕を組んでから写真を見つめる。

「おじさん…今お母さんに紹介したからね。」

「お母さん、怒っているだろ。」

「そんなこと無い! お母さんは喜んでいるから…」


そうだといいが……


4月30日の結婚式のために、俺は菜摘にウェディングドレスを買った。

菜摘はレンタルを主張したが、俺は菜摘だけのドレスを作りたかった。

教会での結婚式を予約した際に立会人を求められた。

俺も菜摘も招待する親戚や知人はいない。

菜摘は二人だけでと言い出す。

俺は以前の会社の部下にお願いすることを菜摘に伝えた。

菜摘は嬉しそうだった。

実はこれは嘘で、以前の会社の部下など既に知るよしもない。

以前ネットで知った「人材レンタル」に頼んだ。むろん菜摘は知らない。

派遣されるのは4名、それぞれが夫婦で旦那2名が俺の部下という設定にした。

式当日、二組の夫婦が教会にやって来た。






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