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蝶が舞う時
第19章 運命
二組の夫婦は共に正装して教会の中に入って来た。

「東条さん、お久しぶりです。お元気でしたか?」

「東条さん、この度はおめでとうございます。こんなに若くて可愛い奥さんが羨ましい。」

「東条さん、以前は主人がお世話になりました。なんて綺麗な奥さんでしょう!」

「俺も再婚したいなぁ~」

「あなた、何言ってるの。あなたは私で十分よ…」

「あなたには無理よ…こんなに若くて綺麗な奥さんなんて……」

冗談で笑いを取りながら、親密感を出す。

さすがにプロだ、演技が上手い。

菜摘は嬉しそうだった。

やがて祭壇に立ち、牧師の前で永遠の愛を誓ってから結婚指輪を交わす。

そして神父に促され、抱き合って唇を重ねると、立会人から拍手があり教会内に響き渡る。

俺と菜摘は正式に夫婦となった。

依頼していたカメラマンも数多くの写真を撮影し、後日アルバムと画像データを配達してくれる。

俺と菜摘は式の終了後に市役所で婚姻届けを提出した。


マンションに帰り着き、菜摘は夕食の準備を始めた。

「菜摘、疲れただろうから簡単な物でいいよ。」

「じゃ、冷凍食品のチャーハンと餃子でいい?」

「ああ…構わないよ…」

俺がリビングのソファーで寝転んでいると

「あなた、出来たよ。」

俺はキッチンのテーブルに座り、

「おじさんからあなたに変わったので、妙な感じだなぁ.」

「あなたじゃいや?」

「いやじゃないが、いつもおじさんだったから…」

「でも結婚して夫婦になったから、おじさんは可笑しいよ…」

「そうなんだが…」

「じゃ、食べよう!」

二人で餃子を分けてからチャーハンと一緒に食べる。

「おじさん、じゃなくてあなた…」

「何?」

「今晩は初夜ね。」

俺は口に含んだ中華スープを思わず吹き出した。

「おじさん、じゃなくてあなた大丈夫?」

「ああ…大丈夫だ。」

「菜摘、今までピルを服用してたけど、もう止めようか。」

「いいの? 」

「ああ…子供を作ろう…」

「本当に? 」

「ああ…菜摘に似た可愛い女の子だ。」

「おじさん、まだわからないよ、性別は…」

「菜摘は夢で見たのだろ。女の子だって。」

「そうだといいけど…」

「おじさんが逝く時に、女の子と願って逝くから…」

菜摘は笑い出した。

「おじさんじゃなくてあなた…変態で大好きよ。」

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