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蝶が舞う時
第19章 運命
次の日、菜摘の大学の講義を終えると、俺は菜摘と駅前の産科の病院に向かった。

病院の中に入り受付をする。

問診票を渡され記入を済ませると、看護師がやって来た。

「東条 菜摘さん?」

「はい、私です。」

「えーと、年齢は20歳、学生さん?」

「はい」

看護師はちらっと俺の顔を見てから

「今日はご主人さんは?」

「はい、来てます。」

「どちらに?」

菜摘は隣の俺を見て

「主人です。」

看護師は一瞬きょとんとして

「あっ、済みませんでした。」

「いえ、よく間違われますから大丈夫です。」

「じゃ、診察室にご案内します。」

俺と菜摘は看護師に連れられ診察室に向かう。

通路のソファーにはお腹の大きな妊婦達が、呼ばれる順番を気にしている。

診察室に入ると女医が担当だった。

「初めまして、担当の伊藤です。」

「東条菜摘さんですね。」

「はい、」

「東条さんは学生さん?」

「はい、◯◯大学の一年生です。」

「学部は?」

「医学部です。」

「じゃ、私が先輩になりますね。」

担当医は俺の存在を気にしている。

「こちらはお父様ですか?」

「いえ、主人です。」

「ご主人…ということは学生結婚?」

「はい、」

担当医は少し混乱していた。

父親みたいな男が主人で、20歳のこの子が医学部生。しかも学生結婚で、妊娠の疑い。

「わかりました。生理が止まってからどれくらい?」

「約2か月です。」

「つわりの吐き気はありますか?」

「いえ、まだありません。」

「ただ、妊娠検査薬で陽性になりましたから…」

「わかりました。じゃ、3Dエコーで確認しましょう。」

菜摘は診察台の横にあるベッドに寝かされた。

俺は外に出ようとすると

「ご主人は一緒に居てください。」

女医は俺に言うと菜摘の横の椅子に座り、エコーの操作を始めた。

菜摘のお臍辺りにプローブをあて、少しずつ動かしながらモニターを見る。

しばらくすると

「あれ…なんだこれ…?」

「えーと、うーん…おかしいなぁ…」

俺は気になった。

「先生…何か問題でも…」

「いえ、ただ…足が3本…」

俺と菜摘は不安になってきた。足が…3本…

「あっ、これね、はい、はい、こんなところに…」

「東条さん、足が1本見つかりました。合計4本。」

「足が4本??」





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