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蝶が舞う時
第19章 運命
「こちらの画像を観てください。」

女医はモニターの横に移動し、俺と菜摘のためにモニターの正面を空けた。

俺と菜摘はモニターを覗き込む。

「ここに1体の胎児がいますね。では回転させます。」

まるで3Dの様に立体化して胎児の反対側に移動すると、確かにもう1体の胎児がいる。

ただ、女医の言う通り足が隠れてよく見えない。

「おめでとうございます。双子ちゃんですね。」

俺と菜摘は顔を見合わせる。

「ふたご…」

俺は尽かさず

「先生…性別はわかりますか?」

「来月になれば明確になりますが、今でもこの画像から推測出来ますよ。」

「どっちですか?」

「はい、女の子です。」

「双子の女の子…」

「そうなりますね。」

「今後、つわりの症状が出てくると思われます。酷い時には来院されて治療を受けて下さい。」

「今後は異常がなければ、1か月単位で検診に来て下さい。」

「帰る時に来月の検診予約を入れ下さいね。」

「ありがとうございました。」

俺と菜摘は診察室を出た。

「菜摘…双子だ…」

「おじさん…双子ね…」


俺と菜摘は車に乗り込みマンションに向かった。

車内では二人とも言葉を交わさなかった。

マンションに帰り着き、キッチンのテーブルに座った。

最初は俺も菜摘も言葉が出なかった。

当惑しているのだ。

普通は一人の子供の誕生を考える。

ただ、今回は同時に二人の子供の誕生となる。

これは予想外の展開だった。

俺はしばらく考えた後、

「菜摘…菜摘もおじさんと一緒で当惑していると思う。」

菜摘はゆっくり頷く。

「菜摘…これも決められた運命なのかも知れない。」

菜摘は俺を見つめている。

「家族が一度に4人になり、しかも女の子だ。賑やかになる。これもまた楽しみだ。」

「おじさんと菜摘で頑張って育てよう。」

「子供達が1歳になったら、菜摘は大学に復学した方がいい。」

「その間子供達は?」

「最初はおじさん一人でやってみるが、無理だったらヘルパーを雇うか、保育園に託す。」

「わかった…」

「きっと菜摘に似て、色白の可愛い女の子達だろうなぁ…生まれるのが楽しみだ!」

「おじさん…」

「菜摘、心配するな。なんとかなるさ!」

菜摘は立ち上がって俺にしがみつく。

「おじさんと結婚して良かった…」


菜摘、大丈夫だ…

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