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蝶が舞う時
第5章 同棲
先に食卓テーブルに座っていると、シャワーを終えた菜摘がやってきた。

「こんな簡単な物だけど...」

「おじさん、料理が上手なんだ...」

「いや、これ以上はできない、レパートリーも少ないし、家じゃあまり料理をしていない。ほとんど外食かコンビニ弁当。」

「じゃ、今度菜摘が作ってあげる。」

「へぇ~ 菜摘は料理ができるの?」

「お母さんとよく作ってたよ、お母さんから教わったの。」

「お母さん、料理が上手だった。もうこの世にはいないけど...」

菜摘は突然フォークをテーブルに置き、目に手を当てた。

俺は慌てて

「菜摘、昨日の約束は?」

「えっ?」

「おじさんの前では泣かないこと。」

「はっ、忘れてた。」

菜摘は半泣きでむりやり笑顔をつくる...

「さあ、早く食べて買い物にいくよ。」

「はい...」

菜摘は無心に食べ始めた。




菜摘は私服が無いので、とりあえずブレザーの学生服を着ることにして車に乗り、町の中央にあるデパートに向かった。

駐車場に車を停めデパートに通じるフロアーを歩き出すと、突然菜摘が俺と腕を組む。

「どうした?」

「だって、おじさんと菜摘は恋人同士でしょ。」

「他人が見てるだろ、これじゃ女子高校生と中年親父の援助交際だ。」

「平気だよ、勝手に思わせとけばいいよ。」

「いや、おじさんが平気じゃない。」

俺は菜摘の腕を解こうとするが、菜摘はそれを拒む。

「じゃ、親子にしょうよ、ね、お父さん。」

「お父さん?」

「お父さんと腕を組む女子高校生は沢山いるよ。」

「本当か?」

「本当、本当。」

騙されている気分だが、俺は菜摘と腕を組み、女性のカジュアルのコーナーを探す。


しばらく歩いて女性物の衣服のコーナーを見つけ、菜摘と二人で見て回っていると

「いらっしゃいませ、何かお探しでしょうか?」

女性の店員が声をかけて来た。

「菜、いや娘が着る服を探しているんだけど...」

「実は今まで家内が娘のことをやってましたが、今年一月に他界してしまって」

「もし良かったら、娘と服を2~3点上下で選んでくれませんか?それと下着も同じ数だけ。」

「そうなんですか...わかりました。」

「私は全くわからなくて..菜摘、お父さんはそこの椅子にいるから」

「は~い、待っててね、お.と.う.さ.ん」

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