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蝶が舞う時
第15章 提示
次の日、俺と菜摘は早めに出発した。

菜摘はブラウスにピンクのカーディガンを羽織り、水色のロングスカート。

俺はチェックのシャツにジャケットを羽織り、デニムのズボン。

菜摘は運転中の俺の左腕に自分の腕を回して、くっつくように寄り添う。

昼御飯はSAで車を停めてレストランで食べることにした。

平日にもかかわらず、SA のレストランは昼時で客が多い。

俺たちより前に2組の客が順番待ちをしているので、予約を入れてお土産ショップを見て廻った。

菜摘は子供のように目を輝かせて歩き廻っていた。

「菜摘、何か欲しいものがあれば買ったら?」

「うん! おじさんと菜摘の記念になるものが有れば。」

しばらく菜摘は見て廻ったが、気に入ったものは無かった。

レストランに戻ると名前が呼ばれていた。

俺と菜摘はテーブルに案内され、俺は海鮮丼、菜摘はポークジンジャを注文した。

店内は移動中の会社員や小さい子供をつれた家族連れなどで満席になっている。

「おじさん、あとどれくらいで着くの?」

「あと2時間半位かな?」

「菜摘、車の中で寝ててもいいよ。」

「ううん、おじさんが運転してるから菜摘は寝ないの。」

注文した海鮮丼とポークジンジャ―が運ばれてきたので、今後の予定を話ながら食べた。

車に戻ると、また菜摘は俺の左腕に自分の腕を回して寄り掛かる。

俺は目的地に向かって出発した。

1時間位が過ぎた頃、よくしゃべっていた菜摘が静かになった。

横を見ると、菜摘は俺の肩に頭をもたげて眠っている。

車は高速道路のインターを降りて、山沿いの大きな坂を越えると高原地帯に入った。

前方には大きな山々が連なり、その麓は緑に繁った高原が広がっている。

「菜摘、もう少しで着くよ。」

菜摘は目を開けて小さく欠伸をする。

「おじさんご免なさい、菜摘眠っていた…」

「いいよ。どうせ退屈なんだから…」

「わぁ…いい景色! おじさん凄いね!」

「ああ…気分爽快になる景色だなぁ… あの山の麓にホテルがある。」


それから約1時間後、俺たちは目的地のホテルに着いた。

ホテルの本館は木造で暖かみがあり、この本館にはフロント、和食とフレンチの各々のレストラン、お土産のショップや小さいコンビニがある。

客室は本館の左右に翼を広げたような配置でコテージが廊下で繋がっている。
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