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蝶が舞う時
第15章 提示
荷物を車から降ろして本館のフロントへ向かった。

フロントの女性が笑顔で

「いらっしゃいませ。お疲れさまでした。」

「予約していた東条ですが…」

「東条樣ですね、承っております。滞在は本日より1週間で、スィートの部屋に御宿泊ですね。」

「はい。」

「それではこの宿泊カードにご記入下さいませ。」

俺は渡されたカードに記入しょうとした時に、車から荷物を1つ下ろし忘れたのに気がついた。

「菜摘、忘れ物した。車から取ってくるから記入しておいて。」

菜摘は頷くとフロントにきた。

俺は車からセカンドバックを取り出し、フロントに戻った。

既に記入を終えており、女性の従業員が

「お客様のお部屋は右側の一番奥になります。電動カートで御送りします。」

従業員は宿泊カードの控えとキーカードを俺に渡し、

「お若くて可愛いい奥様でご主人も御幸せですね。」

俺は怪訝に思い宿泊カードの控えを見た。

俺の名前の下に

お連れ樣  東条菜摘

続柄    妻

年齢    18歳

( これは反則だよなぁ…)

俺は苦笑いして菜摘が待つ電動カートに向かった。

電動カートは左右のコテージの間にある広大な庭園の中を進む。

運転手が、

「この庭園は散歩コースになっています。アクティビティはフロントの横に設置してますコンシェルジュを訪ねて頂ければ、乗馬、高原ハイキング、パラグライダー、天体観測、近郊ドライブ等を手配致します。」

「菜摘、いろいろ楽しみだな。」

「おじさん、楽しみだね。」

カートは一番奥のコテージにたどり着いた。

部屋に入ると見晴らしのよいリビングがあり、脇にミニサイズのキッチンがあった。

リビングの奥には大きめのダブルベッドが設置された寝室があり、リビングの隣の部屋にはシャワー室付きのバスルームとトイレがあった。

中でも圧巻はバスルームの先にはプライベートの露天風呂が広がっている。

露天風呂の左右は岩肌が高く続き、この空間は誰からも見られないプライベートになっていた。

運転手が部屋内の設備を説明した後、

「それではごゆっくりお過ごし下さいませ。」

運転手が部屋を出ていくと、

「おじさん、この部屋凄いよ!」

「ああ、いい部屋だ。菜摘は気に入った?」

「おじさん最高! ありがとう!」

菜摘はキャリーケースから荷物を拡げだした。
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