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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
「──ねえ禊……、昨日の夜、何か変なことなかった?」
「特にはございませんでしたが」
「……そう。──ほんとに?」
「本当です」
その間に昨夜のことを禊に問うてみるが、禊の答えは揺らがない。半分以上を眠りの世界で過ごしていた少女は、何だかいろいろなことが──夢だったのか現実だったのか曖昧で、変な心地に陥っていた。まるで狐につままれたような──、それでも禊は本当に何事も無かったかのように、言葉を続ける。
「そういえば──奥社をお下りになった後の住まいが決まって参りました。湯浴みがお好きなようなので、露天のあるものを選ばせて頂きましたが」
「え、すごい……! 外にお風呂があるの……あれ?」
が、そこで少女は童の並べる衣が昨日と異なることに気付いて目をしばたたかせた。
幅の広い草木模様の布や、翠や白の玉が連なる首飾りや白い貝の耳飾りと、今まで無かった装飾品まで用意されている。
「今日からこちらの巫女の衣装をお召しになって頂きます」
「巫女って……いつの間に決まったの? やっぱり昨日?」
「お知りにならない方が宜しいかと存じます。洞主様も既にご承知ですので、どうぞこちらのお姿で」
「……」
「特にはございませんでしたが」
「……そう。──ほんとに?」
「本当です」
その間に昨夜のことを禊に問うてみるが、禊の答えは揺らがない。半分以上を眠りの世界で過ごしていた少女は、何だかいろいろなことが──夢だったのか現実だったのか曖昧で、変な心地に陥っていた。まるで狐につままれたような──、それでも禊は本当に何事も無かったかのように、言葉を続ける。
「そういえば──奥社をお下りになった後の住まいが決まって参りました。湯浴みがお好きなようなので、露天のあるものを選ばせて頂きましたが」
「え、すごい……! 外にお風呂があるの……あれ?」
が、そこで少女は童の並べる衣が昨日と異なることに気付いて目をしばたたかせた。
幅の広い草木模様の布や、翠や白の玉が連なる首飾りや白い貝の耳飾りと、今まで無かった装飾品まで用意されている。
「今日からこちらの巫女の衣装をお召しになって頂きます」
「巫女って……いつの間に決まったの? やっぱり昨日?」
「お知りにならない方が宜しいかと存じます。洞主様も既にご承知ですので、どうぞこちらのお姿で」
「……」