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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
【3】

 ──そして夕近くになって少しだけ光の白さが褪せた頃。
「……まだお日様が出てるのに、何だか暗い」
「裏手が山になっておりますので。道も下り坂になっているので、足元にもお気をつけ下さい」
「うん──淡島って広いんだね」
少女は再び禊と童に導かれて、奥社の奥を更に奥へと向かっていた。
 少女が導かれた先は空の色に反して薄暗く、言葉を無くせばただ三人の衣擦れと床を踏む音だけが耳に届く世界。
 木で組まれた長い長い回廊は緩やかな下り坂になっていて、まるで地の底に連れていかれるような気分になった。
 それに、最初こそ社殿や倉といった人の手が入った建物がいくつも見えていたが、今や目に見える景色は鬱蒼とした森だけ。木々の間は黒く、潜んでいた何かが飛び出してきても不思議ではない雰囲気だった。
 そんな子供染みたものではあるが得体のしれない恐怖感に苛まれ、やがてそれにも飽きて「帰りの登り坂、禊に運んでって頼んだら運んでくれるかな」と呑気に真剣に考え始めた頃。
 辺りの景色は岩肌に変わり、三人はいつの間にか長い洞を進むようになっていた。
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