この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
不満、不信、絶望、不安、孤独、貧困、憎悪、悪意、裏切り、悲哀……そんなものしか持てなかったから、ここに来たのだろう、と。
だけれどお前は間違っていない。他人を苛むことがなかったのだから、お前は間違っていない。心ある理解者はここに在る者だけだと、それらしい慰めを囁いて。
禍津霊達は男の魂を貪り喰らっていく。
そうやって池に落ちたものをどんどんどんどん喰らって、肥えて。いつか溢れ出したとき、どうなってしまうのだろう。
傍らに落ちてきた男はもう事切れていたが、せめて、自分の肉と理性が残る内は弔いの言葉を掛けてやりたかった。
もう、からっぽでもいい。何も持たなくともいい。それを責める者はいない。だからどうか、喰われても呑まれないでほしい。昏い想いに呑まれ、人を怨むことだけはしないでほしいと。
『……だが、その日は少し様子が違っていた』
「……」
──禍津霊達が、荒びている。
男の魂を噛み千切っていった禍津霊達が、何かに気付いたように水面を目指して一直線に泳ぎ始めていた。そして、それに倣うように他のものも駆けていく。目には映らぬ水の脈を辿り、我先にと争いながら何処かへと消えていく。
だけれどお前は間違っていない。他人を苛むことがなかったのだから、お前は間違っていない。心ある理解者はここに在る者だけだと、それらしい慰めを囁いて。
禍津霊達は男の魂を貪り喰らっていく。
そうやって池に落ちたものをどんどんどんどん喰らって、肥えて。いつか溢れ出したとき、どうなってしまうのだろう。
傍らに落ちてきた男はもう事切れていたが、せめて、自分の肉と理性が残る内は弔いの言葉を掛けてやりたかった。
もう、からっぽでもいい。何も持たなくともいい。それを責める者はいない。だからどうか、喰われても呑まれないでほしい。昏い想いに呑まれ、人を怨むことだけはしないでほしいと。
『……だが、その日は少し様子が違っていた』
「……」
──禍津霊達が、荒びている。
男の魂を噛み千切っていった禍津霊達が、何かに気付いたように水面を目指して一直線に泳ぎ始めていた。そして、それに倣うように他のものも駆けていく。目には映らぬ水の脈を辿り、我先にと争いながら何処かへと消えていく。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


