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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
 その言葉に、少女はますます訳が分からないまま先を行く禊を見遣る。
 確かにこの世界には位のようなものがあるのは感じていたが、日嗣と猿彦の間にはそんなもの無かったような気がする。互いに気安く口を利いていたし、あるとすれば性格の違いくらいじゃないだろうか。
 そんな少女の心中に反し、禊は神々への礼を欠くことのないよう殊更に言葉を卑(ひく)くした。
「──天津神とは高天原に成り出でた神々であり、その存在自体が世界を象(かたど)る程の神威をお持ちになる、偉大な神々にあらせられます」
「あ。日嗣様のお祖母様の……太陽の、女神様とか?」
「左様です。また、その弟君は月──夜を司る神であらせられます。太陽がどれほど我々に取って重要かは、お分かりになりますね?」
「うん。太陽に月──だから、世界を象る神様達なのね」
「はい。一方、国津神は豊葦原に住まい、多くは人の生活に根差したものを司る神々です。
とはいえ天津神の血を引く神々もいらっしゃいますし、現在は豊葦原の風土や信仰の変化から高天原にお住まいになっておいでですが──例えば猿彦様は、道の神でもあらせられます」
「みち? 歩く道?」
「はい」
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