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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
 だから、せめて男の願いを叶えられるように光の水面を目指した。
 その少女は、確かに男の欲の依代(よりしろ)になっていたが、それと同じくらい男の希望の形代(かたしろ)でもあったから。
 ……死に根差した欲とは真逆の、生きたいという生への希望でもあったから。
 だから……この無様な命の残りを使い果たしてでも、神として、最後の人の願いのままに少女を救いたいと思った。それがまた、己の欲を少女に依りつかせることになるのを知りながら、少女のために水を蹴って駆けた。
 ……神として、在ろうと。

***

 『……』
「……子龍?」
ふと、不意に黙りこんでしまったその小さな神に、日嗣は語り掛ける。
 その名が相応しくないことは理解していたが、他に呼び方も知らない。そもそも名があったのかも知らない。
 『……そうして、これは黄泉路にて……私が拾い上げました』
「……!」
だが代わりに応えた女神の、その言葉に日嗣は押し黙る。
 途中で力尽きたのか……神と在ろうとして、在れなかった。その役目は、自分が成り代わって遂げてしまった。しかもその末は、今こうして神依と共に在り、恋を知り心を交わし、ますますに神威を高めている。
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