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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
「すまない……」
不意に浮かんだ渋い想いに、無性に謝りたくなって。その身勝手な想いだけでその言葉を口にすれば、骨の龍はわずかにその頭を震わせた。その意図すら、良い方に解釈してしまう。
そうして黙ってしまった日嗣に、女神はそれでいいと諭すように頷き、続けた。
『……その命はあなたも知っての通り、再び水霊として廻(めぐ)りました。けれど、私はその子を神依に遣わすつもりはなかったの……。神依は仮世との縁を持ちすぎていたし、そもそもあの龍の子に前の生の記憶が残っているはずもない。他のチ龍と何の見分けもつかないくらい普通に水から生まれ出(い)でて、しばらくは私の庇護の元、何の憂いもなく八衢の海を自由に、楽しそうに泳ぎ回っていたのに』
「……」
『その一匹の幼い龍は何を思ったのか、私が誘(いざな)った一人の巫女を見るや、そのままついていってしまった……』
「……」
そこから先は、日嗣もよく知る物語だった。
女神はまた神として、留めぬことに意味を見出だし信じて見送ることにした。
魂を違えてなお神依に尽くしてくれたのはその願い通り、奇跡というべきものなのだろうか。それとも“神依り”という名の言霊が作用して起きた、ただの偶然のものだったのだろうか。
不意に浮かんだ渋い想いに、無性に謝りたくなって。その身勝手な想いだけでその言葉を口にすれば、骨の龍はわずかにその頭を震わせた。その意図すら、良い方に解釈してしまう。
そうして黙ってしまった日嗣に、女神はそれでいいと諭すように頷き、続けた。
『……その命はあなたも知っての通り、再び水霊として廻(めぐ)りました。けれど、私はその子を神依に遣わすつもりはなかったの……。神依は仮世との縁を持ちすぎていたし、そもそもあの龍の子に前の生の記憶が残っているはずもない。他のチ龍と何の見分けもつかないくらい普通に水から生まれ出(い)でて、しばらくは私の庇護の元、何の憂いもなく八衢の海を自由に、楽しそうに泳ぎ回っていたのに』
「……」
『その一匹の幼い龍は何を思ったのか、私が誘(いざな)った一人の巫女を見るや、そのままついていってしまった……』
「……」
そこから先は、日嗣もよく知る物語だった。
女神はまた神として、留めぬことに意味を見出だし信じて見送ることにした。
魂を違えてなお神依に尽くしてくれたのはその願い通り、奇跡というべきものなのだろうか。それとも“神依り”という名の言霊が作用して起きた、ただの偶然のものだったのだろうか。

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