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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
 とにかくその子龍は神依と共にあることを望み、束の間の時間を神として楽しんでいた。語らったり、遊んだり。その振る舞いは互いに軽いものだったが、それでも神の一角として……酒や石を奉られ、あの家で暮らしていた。神依や、神依に近しい者達だけに慈しまれて。神依と同じように、あの家の中でだけ、幸せに暮らしていた。
 ……或いは、他の巫女達がそれを嫌っていたのは、もしかしたら、神依も含め、二人が“死”に近い存在だったからかもしれない。あらゆる命の父が忌避した死の穢れに、本能的に怖(お)じていた。
 けれどもそれを、命の一部だと知る者だけが受け入れた。猿彦も、伍名も、月読も、素戔鳴も。そして稀な少女の一部として、ごくごく普通に今日まで共にあったのだ。
 「子龍……」
今はただもう一度、その穢れを祓って無邪気な子供に還し、あのお気に入りの池に放ってやりたかったが、それも叶わない。
「お前、名は……名は何という。もしもお前が望むなら、私が──」
『……いいえ……天つ御座(みくら)の神よ。慈悲をお与え下さると仰るのならば、どうかこのまま……お捨て置き下さい』
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