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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢

 ──だからあなたは……“あなた達”は優しい恋をして、大切な子を成して、私の大きくて広い腕(かいな)に抱かせてちょうだいね。
 ──そしてできるならば、他の子達も変わらず慈しんで。
 お願い──お願いよ。
 ──……。

日嗣が頷けば、泡沫の女神は純白の世界に溶け込んでいく。別れの言葉もないまま、女神はその命の廻りを次の命に託して再び姿を隠していく。
 女神が佇んでいた場所は無患子(むくろじ)の泡のように薄い虹色を残して滲み、そしてそれが消えた瞬間、日嗣の視界の天地が唐突に入れ替わった。

***

 (……!)
背に感じる、地の感触。今しがたまで縦に眺めていたはずの空間は遥か上方で横たわる岩の天井に変わり、そのあべこべの感覚に、体の中で一度不快な波がうねった。
 (……ここは……)
反転した視界の中に太陽の姿を見つけることはできなかったが、剥き出しの白い岩肌がやけに眩しい。瞳を庇うように目を細めて代わりに耳を澄ませば、辺りには水が流れる音と葉擦れの風の音がさざめいていた。
 だから本当に淡島に──白砂の浜に帰ってきたのかと思ったが、ならば潮の香りがしないのは何故だろう。
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