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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
ちらりとこちらを窺ったかと思えば、堪えきれないように泣き笑いの表情を見せて応えてくれた。
 それは、神依に取っても待ち望んだ時間。
 常闇の中で再会を喜んだ時とは違う。明るい光の中で眠る男はその時以上に傷ついているように見えて、その痛々しさが余計に不安を駆り立てた。
 目覚めてくれてよかったが、それでもなお自責の念は消えずに残る。海松布(みるめ)の如く裂かれた衣の間から垣間見えた傷に、どうしていいか分からず、せめて濯ごうと手のひらに水をすくってはみたものの──止まった血が溶けて、また流れ出てしまうのではないかと怖くなって取り溢し、まじないを唱えたり手をかざしたりすれば傷が癒えるのではないか、意識を取り戻してくれるのではないかとそんな力を心底求めて、落胆して。
 右往左往を散々繰り返し、文で交わしたような意地悪な言葉と態度をやっと現で表せば、もう笑まずにはいられなかった。
 「むくれた顔も、今は好(よ)く思える」
「もう」
両頬をむにゅりと柔くつねられて、神依は自分も仕返ししようと腕を伸ばす。しかしその間に男の体が割り込み、頬をつねっていたはずの手が背と足に回された。そしてあっという間に視界が高くなる。
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