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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
ひらりしゃらり、そわそわと。この花の景色のように落ち着きがなく、咲き乱れて。神も人も、突き詰めればこの世界と同じだ。
不意に水を踏む音が聞こえて、神依ははっと上を見上げる。──注連縄と紙垂(しで)の境。白い砂がふわりと水に散る、そのごく浅い川の向こうは。
「日嗣様──」
「大丈夫だ。きっと……悪いようにはされない」
日嗣が眠っている間に、神依もまた気付いていた。自分が招かれたときとは唯一異なる、岩壁の裂け目。どこに繋がるかも分からず、一人では覗くことも憚られたのだが──恋う神はその先を恐れず、迷いなく進んでいく。
裂け目の中はただ真白の空間が広がっているだけ。だからその先に何が待ち受けているのか、未知の恐怖に神依はぎゅっと男の衣を握りしめる。
どきどきと波打つ鼓動、その体の内側からの揺れと、男が一歩を踏み出す度に伝わる揺れが混ざり、緊張に体が強張る。
そしてついに男の足がその境を越えた時──二人の視界は瞬きの内に、薄い青に染め上げられた。
──よく晴れた空と、海。
その青が淡島のものと全く同じだったことを、神依はすぐに認識した。薄雲の斑(むら)一つない澄んだ空に、海の混ざる。
不意に水を踏む音が聞こえて、神依ははっと上を見上げる。──注連縄と紙垂(しで)の境。白い砂がふわりと水に散る、そのごく浅い川の向こうは。
「日嗣様──」
「大丈夫だ。きっと……悪いようにはされない」
日嗣が眠っている間に、神依もまた気付いていた。自分が招かれたときとは唯一異なる、岩壁の裂け目。どこに繋がるかも分からず、一人では覗くことも憚られたのだが──恋う神はその先を恐れず、迷いなく進んでいく。
裂け目の中はただ真白の空間が広がっているだけ。だからその先に何が待ち受けているのか、未知の恐怖に神依はぎゅっと男の衣を握りしめる。
どきどきと波打つ鼓動、その体の内側からの揺れと、男が一歩を踏み出す度に伝わる揺れが混ざり、緊張に体が強張る。
そしてついに男の足がその境を越えた時──二人の視界は瞬きの内に、薄い青に染め上げられた。
──よく晴れた空と、海。
その青が淡島のものと全く同じだったことを、神依はすぐに認識した。薄雲の斑(むら)一つない澄んだ空に、海の混ざる。

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