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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
それが少しこそばゆくて、少しだけ怖くて……さっきは禊の真似事と言われたが、しかしこれでは意味が異なる。
これではまるで──本当に、男に拐われているみたいではないか。
向かう先の“御館(みあらか)”で、男の腕で囲われて……いつかのように髪をとかれ、頬を抱かれて。自分はその添う相手に何ができるだろう。母がしていたように、上手に尽くせるだろうか。この男の視線や声や指先に、抗えるだろうか。
否、拒むなどできようはずもない──そして拒めないのなら、その先は──。
「……」
そのあまりに甘やかな、とろけるような檻の有り様に、神依はばれないようにそっと自分を拐う男を窺う。
男の眼差しはやはり一直線にその場所へ向かい、下を覗けばその歩みは惑うことなく石を掴んで、確実に目的地までの距離を縮めていた。
ぱしゃぱしゃと薄い波が石に寄せ、それ自体は見慣れた光景であるのに、やはり異界に連れ去られる気分になる。まして、その拐(かどわ)かしを行うのがこの男神であるならば──巫女である自分が、その被虐めいた快感に酔ってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。
これではまるで──本当に、男に拐われているみたいではないか。
向かう先の“御館(みあらか)”で、男の腕で囲われて……いつかのように髪をとかれ、頬を抱かれて。自分はその添う相手に何ができるだろう。母がしていたように、上手に尽くせるだろうか。この男の視線や声や指先に、抗えるだろうか。
否、拒むなどできようはずもない──そして拒めないのなら、その先は──。
「……」
そのあまりに甘やかな、とろけるような檻の有り様に、神依はばれないようにそっと自分を拐う男を窺う。
男の眼差しはやはり一直線にその場所へ向かい、下を覗けばその歩みは惑うことなく石を掴んで、確実に目的地までの距離を縮めていた。
ぱしゃぱしゃと薄い波が石に寄せ、それ自体は見慣れた光景であるのに、やはり異界に連れ去られる気分になる。まして、その拐(かどわ)かしを行うのがこの男神であるならば──巫女である自分が、その被虐めいた快感に酔ってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。

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