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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
 それはかつて神依が視た──あの天地開闢の物語の中にあった、生まれたての淡島の姿そのものだった。


***

 それから二人はその小さな島を巡り、また唯一の建物である社の中にも足を踏み入れた。
 中は日嗣が知る淡島のものとは異なり、本当に住まいのために造られたものなのだと分かる。生活には困らないだけの何もかもが整えられ、裏手には湯殿も設(しつら)えられていた。湧き出る湯に、二人はその扱いに悩んだが──とにもかくにも神依は日嗣の手当てを申し出、血や泥を落とすと櫛名田に持たせてもらった薬を伸ばし、布を巻いた。
 互いに何となく社の中にあることを避け、浜に近い若草の上で向き合って。光に満ちた世界で間近に見る男の裸体は自分のものよりずっと逞しく隆々として、本当はこんなにも美しいものなのだと神依は初めて知った。
 退廃的な灯火の中で、禊が晒した肌とも異なる。肉食と草食の獣の体や毛並みを論じるような、そんな歪な感覚ではあったけれども……日に照る肉は夏に隆盛を誇る青葉のように若々しくしなやかで、その陰影までもが艶(つや)めいている。速く駆ける獣のようで、がっちりとしているのにどこか艶かしい。
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