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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
かつてきらびやかな衣を纏い、端正な面持ちと振る舞いをして時に細(ほそ)やかに、またその心を自ら苛み涙して、時になよやかにさえ見えていたあの美男子が、実は自分が思っていた以上に瑞々しい、若さと活力に溢れた獣染みた雄であったことに今さら気付き、気付いてしまったらもう意識しないではいられなかった。
しかもつい先程までこの男の胸に、腕に抱かれていたのだ。それを思えば胸の鼓動が一気に速くなって、神依は火照る頬を隠すようにうつむき、なるべく日嗣の顔を見ないようにして手当てを進めた。そしてそれをごまかすように、離ればなれになっていた間の思い出をぽつぽつと分かち合う。
特に、単身素戔鳴の屋敷を飛び出したことだけは無茶をするなと叱られたが、それでも神依は母から贈られた特別な比礼(ひれ)を誇り、料理や裁縫を教わったこと、素戔鳴さえ父と慕ったこと、また鼠軼と過ごしたことを語った。
最後に自分が興した大蛇の話も聞き、互いに語ることは尽きなかったがその内に手当ても終わり、後は宝の珠が癒してくれるという日嗣の言葉を信じて神依は自身も身を清めた。
右肩に残されたという朱印を確かめれば、確かに──見覚えの無い印が禍津霊に咬まれた時のものを呑み、けれども日嗣の印を侵すことなく浅い色をして刻まれている。
しかもつい先程までこの男の胸に、腕に抱かれていたのだ。それを思えば胸の鼓動が一気に速くなって、神依は火照る頬を隠すようにうつむき、なるべく日嗣の顔を見ないようにして手当てを進めた。そしてそれをごまかすように、離ればなれになっていた間の思い出をぽつぽつと分かち合う。
特に、単身素戔鳴の屋敷を飛び出したことだけは無茶をするなと叱られたが、それでも神依は母から贈られた特別な比礼(ひれ)を誇り、料理や裁縫を教わったこと、素戔鳴さえ父と慕ったこと、また鼠軼と過ごしたことを語った。
最後に自分が興した大蛇の話も聞き、互いに語ることは尽きなかったがその内に手当ても終わり、後は宝の珠が癒してくれるという日嗣の言葉を信じて神依は自身も身を清めた。
右肩に残されたという朱印を確かめれば、確かに──見覚えの無い印が禍津霊に咬まれた時のものを呑み、けれども日嗣の印を侵すことなく浅い色をして刻まれている。

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