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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
果たしてそれは、朗報なのだろうか。単に舟の上にいたから出た話題なのだろうが、神依は急に心細くなって抱っこをねだる子供のように手を伸ばす。日嗣は船首に近い場所にあった梁に寄り掛かるように体の位置を変えると、全身でもってそれを受け入れた。
湯を使う時、一つだけこの世界から拝借してしまった白妙(しろたえ)の衣が広がって重なり、小舟を満たす。
何かを考えているのか、胸を貸してくれた男は猫に例えた髪を徒(いたずら)に指でくしけずり、沈黙してしまった。
(櫛……)
神依はそれを伝えようかと思ったが、今はいいやとすぐに思い直す。今は指の方がいい。
だからそのまま静かに身を任せ次の言葉を待っていると、時が経ったのかその内に風向きが変わったことに気付いた。
頂近くで日が照っていた時より花の香が濃くなった気がする。そこへ男が甘い匂いがするなんて言うものだから、同じことを考えていたんだとほっとしたが、ふくれた頬をつつかれてそれより一層うれしくなった。
「あ、そうだ。日嗣様もお腹すいてませんか? 櫛名田様が持たせてくれたのがまだ少し残ってるから──食べ物も水も大丈夫、淡島のものだからって」
「神依……」
湯を使う時、一つだけこの世界から拝借してしまった白妙(しろたえ)の衣が広がって重なり、小舟を満たす。
何かを考えているのか、胸を貸してくれた男は猫に例えた髪を徒(いたずら)に指でくしけずり、沈黙してしまった。
(櫛……)
神依はそれを伝えようかと思ったが、今はいいやとすぐに思い直す。今は指の方がいい。
だからそのまま静かに身を任せ次の言葉を待っていると、時が経ったのかその内に風向きが変わったことに気付いた。
頂近くで日が照っていた時より花の香が濃くなった気がする。そこへ男が甘い匂いがするなんて言うものだから、同じことを考えていたんだとほっとしたが、ふくれた頬をつつかれてそれより一層うれしくなった。
「あ、そうだ。日嗣様もお腹すいてませんか? 櫛名田様が持たせてくれたのがまだ少し残ってるから──食べ物も水も大丈夫、淡島のものだからって」
「神依……」

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