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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
荷を取ろうと起こしかけた体を繋ぎ留められて、神依は瞬きを繰り返して日嗣を見上げる。
「日嗣様?」
「……お前は、どうしたい?」
「えっ……?」
「もしも選べるなら……ここで二人、新たに一から国を創るのと、元居た場所に帰るのと。……どちらがいい?」
何を食べるかは、その後決めよう──そう問われて、神依は大きく目を見開く。
やはり、これはそういうことなのだ。そして社の中にあったものを口にすれば、もうあの淡島に帰ることは叶わない。
「もしも二人で国を創るなら……俺は優しい国がいいな。そこにはお前を害する者は誰もいない。常世の国の如くあり、争いや憎しみの影を薄くして皆が穏やかに生きられる国。そしてお前はあらゆる命の母として、恋い慕われる。もちろん俺も……大事にする。この原始の淡島に流れ出でた始祖の神として──お前を妻として迎え、二度と他の男に触れられぬよう、あの住処に縫い留めよう」
「あ……」
髪を弄っていたはずの手が背を撫で、腰を抱(いだ)く。
その手も言葉も──どうしてこの男は、ふとした瞬間でこんなにも蠱惑的に変わるのだろう。血と同じように全身を巡る、女の感傷がきゅうっと切なくすくむ。
「日嗣様?」
「……お前は、どうしたい?」
「えっ……?」
「もしも選べるなら……ここで二人、新たに一から国を創るのと、元居た場所に帰るのと。……どちらがいい?」
何を食べるかは、その後決めよう──そう問われて、神依は大きく目を見開く。
やはり、これはそういうことなのだ。そして社の中にあったものを口にすれば、もうあの淡島に帰ることは叶わない。
「もしも二人で国を創るなら……俺は優しい国がいいな。そこにはお前を害する者は誰もいない。常世の国の如くあり、争いや憎しみの影を薄くして皆が穏やかに生きられる国。そしてお前はあらゆる命の母として、恋い慕われる。もちろん俺も……大事にする。この原始の淡島に流れ出でた始祖の神として──お前を妻として迎え、二度と他の男に触れられぬよう、あの住処に縫い留めよう」
「あ……」
髪を弄っていたはずの手が背を撫で、腰を抱(いだ)く。
その手も言葉も──どうしてこの男は、ふとした瞬間でこんなにも蠱惑的に変わるのだろう。血と同じように全身を巡る、女の感傷がきゅうっと切なくすくむ。

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