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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
それを感じてしまう自分も、色に堕ちているのか。好いた男に拐われる揺れは、本当に夢心地のようだった。だからこそその道を覚り、意識してしまった。
 ともすれば今だって、舟の微かな揺れと花に混ざる男の香に惑わされそうになる。逆に子供染みた飴一粒が、女ではなく少女として在ろうと自分の中の何かを引き留める。
 「日嗣様は……そっちの方がいいの?」
「……やり直せるなら、俺とお前が好いたものだけの世界にできる。生活も、しばらくは不自由しないだけのものがここにはあったし、それが尽きる間すらなく、俺達が神として奉られる新たな世界が成っていよう」
「……本当に?」
「……」
答えてはくれない。男の熱から少し遠ざかるように膝で立てば、それを引き留めるように腕が伸ばされた。神依もそれを拒みはせず、互いに腕だけを絡めじっと向き合う。
 自分を包みこんでくれるのは、ただただ穏やかに透き通った金の眼差し。触れてみたくなりそうなその宝珠の瞳は、神依に選んでいいと言っている。それを否定することはしないと。
 「……」
けれど神依はそれを真っ正面から受け入れられず、目を伏せると時間を稼ぐように飴を転がす。
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