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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
……なんとなく寂しい感じがしたのは、もしかしたら二人の思い描いた行く末が異なっているからなのだろうか。
(……確かにあの淡島は、辛いことばかりの世界だったけど)
除け者にされて、幾夜も泣いて過ごしたこともある。ただこの男神に恋をして……代わりに母とも想った人にも嫌われて、心も体も痛め付けられ、黄泉国でも泣いてばかりいたけれど。でも、……だけど。
そうじゃないことだってたくさんあった。今はもうそうじゃないと、教えてくれた物もある。
不恰好な神楽鈴。
自分を助け、それを教えてくれた二柱の女神にもまだ報いていない。舞を教えてくれた奥社の巫女や、布を織って鈴に結んでくれた女達、また命を脅かされる間際まで追い詰めてしまったあの女と男に、自分はまだ何も差し出せていない──。
「……ごめんなさい」
だから神依が眉を下げておそるおそる呟けば、日嗣はそれを責めぬよう柔く笑み、小首を傾げて先を促す。その言葉が発せられるのをずっと待っていたかのように笑みを深める。
(……日嗣様)
それで、男の眼差しや仕草の何もかもが男の犠牲を帯びたものであったこと、本当の望みが自分とまったく同じであったことを知った神依は、ようやく自身も笑んだ。
(……確かにあの淡島は、辛いことばかりの世界だったけど)
除け者にされて、幾夜も泣いて過ごしたこともある。ただこの男神に恋をして……代わりに母とも想った人にも嫌われて、心も体も痛め付けられ、黄泉国でも泣いてばかりいたけれど。でも、……だけど。
そうじゃないことだってたくさんあった。今はもうそうじゃないと、教えてくれた物もある。
不恰好な神楽鈴。
自分を助け、それを教えてくれた二柱の女神にもまだ報いていない。舞を教えてくれた奥社の巫女や、布を織って鈴に結んでくれた女達、また命を脅かされる間際まで追い詰めてしまったあの女と男に、自分はまだ何も差し出せていない──。
「……ごめんなさい」
だから神依が眉を下げておそるおそる呟けば、日嗣はそれを責めぬよう柔く笑み、小首を傾げて先を促す。その言葉が発せられるのをずっと待っていたかのように笑みを深める。
(……日嗣様)
それで、男の眼差しや仕草の何もかもが男の犠牲を帯びたものであったこと、本当の望みが自分とまったく同じであったことを知った神依は、ようやく自身も笑んだ。

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