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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
「日嗣様。私……私も帰りたい。やっぱり、みんながいるあの淡島に、帰りたいです。それであの世界で……もう一度、あなたと生きたい」
「ああ。……良かった。俺も同じだ──」
共に抱いた、同じ想い。それが紛うことなく望んだ未来であったことに、二人は心から喜びを分かち合う。
 それでも神依が望むなら、そんな世界を創り直してやりたいと日嗣は思った。友との絆や託されたもの、それらは全て自分が呑んで、生きていけばいいと思っていた。そういう苦味はきっと、傍らの妻巫女の甘い笑みや喜びが和らげてくれる。時が経てばそこにもっと別の、新たな幸せが加わるかもしれない。
 母たる女神が最後に与えてくれた、無償の……或いは母であったからこその、美しいまでに歪な愛情に二人で身を委ねて。悲しみも苦しみもない、ただ愛で撫でられるだけの世界に還り、生きていく道。
 しかし神依は今、その母が語ったようにあらゆるものを断ち、また結び直して自分という男神の元に在ってくれている。子が母の胎(はら)を破って生まれ出るように──母を傷付ける痛み、そしてその狭い道と不確かな未来を抜ける痛みを自身も受け入れて、今ここに在ってくれる。
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