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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
「あ──洞主様!」
「おやまあ、随分と可愛くなって。どうだえ禊、私の言った通りであったであろ?」
「私ごときには人間の美醜などはかりかねます」
開けた石室内部には、少女の晴れ姿に破顔する洞主とそれに添う屈強な男の姿があった。
「洞主様──またお会いできて、嬉しいです」
「まあ、随分と甘え上手になったこと。あれからしばらくになるが、仮宿ではつつがなくお過ごしかえ」
「はい!」
少女と洞主はどちらともなく抱擁し、まるで本当の母子(おやこ)のように再会を言祝ぐ。そしてふと、少女の目線が傍らに赴いたのに気付くと洞主はその腕を緩めた。
「──紹介しよう。これは私の禊でな、禊連中からは大兄と呼ばれておる」
「……」
男は禊と同じ装束を纏っていたが、禊より縦にも横にも一回りほど大きい。年も、ここに来て少女が出会った者の中では一番上に見えた。
「大兄……さん。はじめまして」
「ああ──申し訳ない、堅苦しい挨拶は苦手でな。だが玉衣様からお話は伺っている。よくお戻りになった」
少女がおそるおそる頭を下げると、おおらかな声とともに頭がくしゃくしゃと撫でられる。それを見て禊が嫌そうに顔をしかめたが、怖い人ではなかったと少女は笑んだ。
「おやまあ、随分と可愛くなって。どうだえ禊、私の言った通りであったであろ?」
「私ごときには人間の美醜などはかりかねます」
開けた石室内部には、少女の晴れ姿に破顔する洞主とそれに添う屈強な男の姿があった。
「洞主様──またお会いできて、嬉しいです」
「まあ、随分と甘え上手になったこと。あれからしばらくになるが、仮宿ではつつがなくお過ごしかえ」
「はい!」
少女と洞主はどちらともなく抱擁し、まるで本当の母子(おやこ)のように再会を言祝ぐ。そしてふと、少女の目線が傍らに赴いたのに気付くと洞主はその腕を緩めた。
「──紹介しよう。これは私の禊でな、禊連中からは大兄と呼ばれておる」
「……」
男は禊と同じ装束を纏っていたが、禊より縦にも横にも一回りほど大きい。年も、ここに来て少女が出会った者の中では一番上に見えた。
「大兄……さん。はじめまして」
「ああ──申し訳ない、堅苦しい挨拶は苦手でな。だが玉衣様からお話は伺っている。よくお戻りになった」
少女がおそるおそる頭を下げると、おおらかな声とともに頭がくしゃくしゃと撫でられる。それを見て禊が嫌そうに顔をしかめたが、怖い人ではなかったと少女は笑んだ。