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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
まだ柔(やわ)な花弁を潰してしまわないよう、自分自身の振る舞いも柔くして。
 最後に唇をついばむよう何度も触れ合わせ、その間手遊びに耳やうなじをくすぐれば、そのむず痒さに女の唇から本当に子供染みた笑いが漏れた。神依もどうしてかくすぐったいのが楽しくて嬉しくて、吐息混じりに拒絶の言葉を紡ぐがそんなものはまったく意味をなさない。二人はじゃれついて遊ぶ仔犬のようにそんな甘い悪戯を仕掛け、かわし、ようやく得たその時間を何度も何度も糖衣掛けしていく。凛として楚々とあった白妙の衣さえその糸をほぐし、溶けるように狭い床板の上で波を作る。もしそれが甘い乳液だったら、二人の肢体はむせかえるほど芳烈に漬けこまれていそうだった。
 幼さと婀娜(あだ)っぽさを絡め合わせて練る飴細工。
 二人はある一点で呼吸を合わせたかのように笑い声を潜ませると、ほうと息を吐(つ)いて一心に眼差しを交わす。
 両の手の指を絡め合わせ、呼吸の音が聞こえるほど近くなった距離で見つめ合えば、世界中が無くなってしまったかのような不思議な空気だけが舟に満ちていった。互いに互いだけを映して、ひたすら余分なものを透過して。
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