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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
 その隣に在った若き鼠神と蜘蛛の女神も纏う気配を穏やかに、再び賑やかさとぬくもりを取り戻した我が家で、騒がしい声を見送る。父を継いだ鼠神は、それを映すように珠を抱いて。
 惨劇に荒れた庭も、すっかり元の形を取り戻してあった。祠や庭石の元にはどこかから運ばれて根付いた秋草がさやさやと風に揺れ、たまに羽休みに訪れる小鳥や蜻蛉がその小さな浮島の平穏を外側からも住人に示してくれる。
 秋──。
 あの雪のちらつく暮れ間近の冬の日から、二人の男女が再び淡島に帰るまで──その間ゆうに十月(とつき)もの月日が過ぎ去り、また新たな冬を迎えようとしていた。

 「……ったく、毎度毎度飽きねーな、孫のやつ」
縁側に残った猿彦に禊が茶菓を振る舞えば、猿彦は湯呑みだけを手に竹林の方を見遣る。
「ま、俺としては当初の目論見通り、お坊っちゃんのおもりが増えてくれたのはありがたいんだが──割り食ったのがチビじゃな。ガキ同士、どっちもどっちで楽しんでりゃそれはそれでいいんだけど」
「楽しい……かどうかは、私には量りかねますが。あの御方には市井の暮らしが物珍しいというのもあるのでしょう。それに……いえ」
「……」
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