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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
二人が黄泉に消え一年が近付き──信じるには難い日々を、禊は、それでも祈り続けて待っていた。
 それがようやく、ようやく実を結んだ瞬間だった。
 二人は神にも人にも手厚く迎えられ、十日を経て目覚め体調が万全に整うと、男はまず自身の髪をばっさりと切り落とした。そしてそれを禊ぎに代えると天に戻ることもせず、共に戻った淡島の巫女の家を新たな住まいに定め、日々を過ごすようになっていた。
 ……おそらく。
 男神は少し、病んでいたのだと思う。
 それが人の病か神の病か、禊には判らない。ただ極端に孤独を恐れ、真夜中は特に人を求めて、禊や共に戻った巫女の元に入り浸る。
 ──本来人は、長い時を他人と言葉を交わさずにいると心を病むのだという。それは時が解決してくれる部分も大きいことは承知していたが──たとえば美味い飯を作るとか遊興に付き合うとか、気休めにでも、力になれるところには尽力した。男神はそれも理解して、すまない、ありがとうと謝してくれる。
 それに、変わった点はなにも悪い方ばかりにではない。
 戻った男神は角が取れたようにその振る舞いを円やかにして、巫覡とも神々とも、柔く良く接するようになっていた。
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