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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
以前はごくごく限られた者達だけに垣間見せていた和やかな気性を、自然と誰にでも見せられるようになっていた。
また新たに選び取った生活は居心地が良かったらしく、今は童子のようにあれこれと興味を持ち、小さな師と共に淡島を駆け巡っている。
衣食住、華美なもの豪華なものなど何もない。ただ土いじりを楽しみ、鎚の音を味わい、潮の香りに染まり……そんな人々の暮らしを間近に見つめ、自ら混じろうと努力していた。そして童ともども泥や煤に衣を汚して家路に着き、恋妻と炊事の匂いに迎えられる。
それは取るに足らない、ありふれた暮らし向きだったかもしれない。だがそれでも、いずれまた、この秋のごと絢爛豪華な装いを自らが纏う時──その時のために知らなければならないことなのだと、神は友に語っていた。
変わったな、と言えば至極単純にそうか、と返される。
かつて忌避していた過去の罪も行く末の運命(さだめ)も受け入れ、足元の土を一歩一歩踏みしめて歩み始めた若き男神。手指まで汚して笑んでいる様を見れば、それは四つん這いの赤子のような歩みだったのかもしれないが、それでも──共に歩む者を自ら取り戻し、やり直そうと前に進み始めた日嗣ぎの皇子を嗤う者はいなかった。
また新たに選び取った生活は居心地が良かったらしく、今は童子のようにあれこれと興味を持ち、小さな師と共に淡島を駆け巡っている。
衣食住、華美なもの豪華なものなど何もない。ただ土いじりを楽しみ、鎚の音を味わい、潮の香りに染まり……そんな人々の暮らしを間近に見つめ、自ら混じろうと努力していた。そして童ともども泥や煤に衣を汚して家路に着き、恋妻と炊事の匂いに迎えられる。
それは取るに足らない、ありふれた暮らし向きだったかもしれない。だがそれでも、いずれまた、この秋のごと絢爛豪華な装いを自らが纏う時──その時のために知らなければならないことなのだと、神は友に語っていた。
変わったな、と言えば至極単純にそうか、と返される。
かつて忌避していた過去の罪も行く末の運命(さだめ)も受け入れ、足元の土を一歩一歩踏みしめて歩み始めた若き男神。手指まで汚して笑んでいる様を見れば、それは四つん這いの赤子のような歩みだったのかもしれないが、それでも──共に歩む者を自ら取り戻し、やり直そうと前に進み始めた日嗣ぎの皇子を嗤う者はいなかった。

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