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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
最後はその満ちた愛情と母性故に、子から離れることを自ら選び、絡み付いた仮世の縁を全て持ち去って消えた女神。
だからか、
「神依はもう……戻った時には子龍のことを覚えていなかったからな。……おそらく、そういうことなのだろう」
「……はい」
こちらに戻った巫女は、時折自ら腕を掴んでは不思議そうな顔をして……何かを喪ったことだけは朧気に感じているようだったが思い出せない、そんな様子だった。
記憶の──喪失や欠落とも違う。たとえば紗でできた薄衣を一枚脱ぎ捨てたような、剥離という言葉が感覚的に最もふさわしいように思えたが、何故だか……日嗣はそれで、良いような気もしていた。
或いはそれは、自分が新たに与えた名のせいだったのかもしれない。けれども結局数日後には、神依は子龍など最初から無いものだったかのように腕を気にすることもなくなったし、周囲の者も敢えてその存在をほのめかすこともしなかった。
──そしてそういう変化は、神依の外側にも現れ始める。
あれだけ頑なに神依を拒んでいた淡島の巫女達が、今はゆっくりと神依を受け入れ始めているのだ。
最初こそぎこちないものではあったが挨拶を交わし会話を重ね──
だからか、
「神依はもう……戻った時には子龍のことを覚えていなかったからな。……おそらく、そういうことなのだろう」
「……はい」
こちらに戻った巫女は、時折自ら腕を掴んでは不思議そうな顔をして……何かを喪ったことだけは朧気に感じているようだったが思い出せない、そんな様子だった。
記憶の──喪失や欠落とも違う。たとえば紗でできた薄衣を一枚脱ぎ捨てたような、剥離という言葉が感覚的に最もふさわしいように思えたが、何故だか……日嗣はそれで、良いような気もしていた。
或いはそれは、自分が新たに与えた名のせいだったのかもしれない。けれども結局数日後には、神依は子龍など最初から無いものだったかのように腕を気にすることもなくなったし、周囲の者も敢えてその存在をほのめかすこともしなかった。
──そしてそういう変化は、神依の外側にも現れ始める。
あれだけ頑なに神依を拒んでいた淡島の巫女達が、今はゆっくりと神依を受け入れ始めているのだ。
最初こそぎこちないものではあったが挨拶を交わし会話を重ね──

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