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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
その、天にも通じる偉大なる神々の名を以て主神より祝い言(ごと)を頂いた兎神は、感極まったかのように体を震わせぺこぺこと頭を下げると、両手で顔をくしけずり、再びぐっと伍名を見上げる。
それは幼いながらも大切な人達を護れるよう、神として凛々しくあろうとした兎神の、決意でもあった。
(……こうなることを、月の神は見通していたのだろうか)
伍名がそれを疑うことはなかったが、姿振る舞いに惑わされず、希薄な神という存在を無条件に認めてくれる少女の、なんと得難き情愛か。
この兎神だけではない──春のぬるむ水が大地から命を蘇らせるように、少女の素朴な信仰は端々の神々すら興し、またその恋には天の神まで満たされて、再びその喜びを思い出した。廻ったのだ。
そうして過去の罪の意識から解き放たれた縁離の天孫と、あらゆる世界のあらゆる神を受け入れ雪消(ゆきげ)となった神結の巫女は、きっとこれからもこうして数多の神々を見出だし、育み、満たしていくのだろう。
若きつがいの、晴れの道だ。
「──ところで御令孫、今日はどちらへ?」
「──あっ、兄ちゃんからかってたせいで遅刻する! 今は収穫の時期だから、あちこちの田んぼを順番に回っているんです。──行こう、兄ちゃん」
それは幼いながらも大切な人達を護れるよう、神として凛々しくあろうとした兎神の、決意でもあった。
(……こうなることを、月の神は見通していたのだろうか)
伍名がそれを疑うことはなかったが、姿振る舞いに惑わされず、希薄な神という存在を無条件に認めてくれる少女の、なんと得難き情愛か。
この兎神だけではない──春のぬるむ水が大地から命を蘇らせるように、少女の素朴な信仰は端々の神々すら興し、またその恋には天の神まで満たされて、再びその喜びを思い出した。廻ったのだ。
そうして過去の罪の意識から解き放たれた縁離の天孫と、あらゆる世界のあらゆる神を受け入れ雪消(ゆきげ)となった神結の巫女は、きっとこれからもこうして数多の神々を見出だし、育み、満たしていくのだろう。
若きつがいの、晴れの道だ。
「──ところで御令孫、今日はどちらへ?」
「──あっ、兄ちゃんからかってたせいで遅刻する! 今は収穫の時期だから、あちこちの田んぼを順番に回っているんです。──行こう、兄ちゃん」

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