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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
 ──それは天地(あめつち)が、初めて発(わか)れたときだった。
 その狭間で、ただただおののき息を呑む少女。
 そして自分が一体何に立ち合っているのか──それを理解したとき、体が、更にその奥にあるものがざわざわと騒ぎ出す。その大きな──本当に大きな繭と、共鳴するかのように自分の中で何かがわき興る。
 だからか、今自分が芥(あくた)のようにたゆたうここも、また淡島なのだと自然と理解できた。まだそれが生まれる前の、無垢な空間。
 その時、少女の周りに白い光が降り注いだ。雨上がりの光芒のように、天から伸びる光の筋。
 目を庇いながら空を仰げば、そこに大きな三つの光が成り、そのまま上天へ消えた。
 (神様……)
何故そう思ったかわからない。ただその光の残滓は世界を、少女を照らしてまだ流動を続ける大地に届いた。
 そこから、今度は逆に天に向かって伸びるように光の穂が二本現れる。葦のようだった。それはただひたすら真っ直ぐ、また柱のように質量を増してぐんぐん伸びて、穂を揺らし、葉を繁らせて再び天に消えた。
 そしてその生い茂った光の葉から取りこぼされたかのように、二つの光が地に生まれ出でる。それは流動する大地に霧散し、その流れを収めた。
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