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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
それからの足元の世界は数回、一対の光が現れると共に目まぐるしく変化した。
泥が生まれ、砂が生まれた。
それを圧し留めるように山が生まれ、固めるように根を張る草木が生まれた。
川がその地を貫き、湾がそれを受け止めた。
そうして陸地が成り、海ができた。
しかし──次に生まれた光は、様子が違っていた。
『……?』
その一対の光は地の何にもならず、少女の周りにふわりと浮かぶ。そして次の瞬間、まるで自分の姿を真似たように──人の姿に形を変えた。
(……っ)
それは少女がこの世界で初めて見る、人の姿をしたもの。その姿に成り出でて、少女はすぐにその二柱の違いに気付いた。隆々とした筋の線、円やかな肉の線。
(……男の神様と、女の神様……?)
二人はそこで、ふと何かに気付いたように上天を見上げる。
彼らが見つめる天にあったのは雲と光だけだったが、少女にもそこに在るものが分かった。それは多分──先に生まれ出でた神様達。
だから少女は、神様達にも神様が“要る”ことを知った。
でもそれはきっと、格というものではない。そうでなければ彼らは何故いつも複数で生まれ出でたのだ。それを優先するのなら、先に生まれる神は一人でいいのだから。
泥が生まれ、砂が生まれた。
それを圧し留めるように山が生まれ、固めるように根を張る草木が生まれた。
川がその地を貫き、湾がそれを受け止めた。
そうして陸地が成り、海ができた。
しかし──次に生まれた光は、様子が違っていた。
『……?』
その一対の光は地の何にもならず、少女の周りにふわりと浮かぶ。そして次の瞬間、まるで自分の姿を真似たように──人の姿に形を変えた。
(……っ)
それは少女がこの世界で初めて見る、人の姿をしたもの。その姿に成り出でて、少女はすぐにその二柱の違いに気付いた。隆々とした筋の線、円やかな肉の線。
(……男の神様と、女の神様……?)
二人はそこで、ふと何かに気付いたように上天を見上げる。
彼らが見つめる天にあったのは雲と光だけだったが、少女にもそこに在るものが分かった。それは多分──先に生まれ出でた神様達。
だから少女は、神様達にも神様が“要る”ことを知った。
でもそれはきっと、格というものではない。そうでなければ彼らは何故いつも複数で生まれ出でたのだ。それを優先するのなら、先に生まれる神は一人でいいのだから。