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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
勿論それは、高天原を統べる神として最低限の威を損なわぬよう、選びに選び抜いた言葉でかなりもどかしいものではあったのだが──自分なりに真摯に努めたつもりだった。そして少女も、何も言葉にはしなかったがその立場を理解してくれてはいたのだろう、あらかたはそれを受け入れてくれた。
 ただ、一点を除いては──
 「──私のことは構いません。私にも確かに罪があったのです」
その時ばかりは、少女はもう何を怖じるでもなく凛とした様子で向き合ってきた。
 天より降るも易い山近くの、奥社の奥。日中だというのに山や森の静謐と薄暗さ……角には濃い影がのさばるような社の中、互いの付き人さえ遠ざけた静寂(しじま)の中で、少女はそれらまで味方にするような声音で語った。
「私も無知だったのです。知らず知らず犯していた罪があって、だからきっと……貴女様のことは、まさしく天罰なのだと思いました。でも」
「……」
「貴女は、何の関係もない鼠軼様を死に追いやった」
身動ぎもせず真っ直ぐにこちらを見つめ、怒りにす、と細められた目に天照も一瞬たじろぐ。
 娘の背後でわずかに射し込む光芒に、ちらちらと煌めく塵さえ意味ありげに美しい──
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