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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
 女同士とはいえ、体躯に差もある。何より今ここに在るのは二人だけで、神と巫女という立場を越えた──どちらかといえば、自分の方が分が悪い状況。
 だからその暴力を悟った瞬間、本能的に体はすくみ、身構えてしまった。
 そしてそんな天照を前に、少女はゆっくりと腰を下ろし腕を伸ばす。
「な……何……、わあっ」
しかし想像していたような痛みは襲って来ず、代わりにふわりと体が宙に浮いた。直後、心地好い、優しい圧迫感にぎゅっと包まれて、天照は目をしばたたかせる。
 柔い。
 淡島の巫女の衣は粗布ではなかったが、それでも自分のものと較べると遥かに劣る。にも関わらず頬に押し付けられたそれはとても柔らかくて、花の匂いがした。女達が好む薫物(たきもの)とも異なる、優しい、不思議な香りだった。
 その布一枚を隔てた巫女の肉と肌は、一体何でできているのか……今まで自分が得たことのない感触は、少しだけ怖かった。それを知らなかったことが怖かった。
 でも体は少女に吸い付くように動かなくて、少女もまた手放す気もないように幼い体を抱き直すと、口を開く。
 「……日嗣様を許して下さって、ありがとうございました」
「いや……それは」
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