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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
「高みに在っては、御心の休まらないことも多いでしょう。あの家でよろしければ、いつでも息抜きにお出で下さい」
「……む。……うむ……、ん、行く」
「はい。そしたら一緒にご飯やお菓子を食べて、いっぱい遊んで。疲れたらお風呂に入って、夜は同じお布団で横になって、たくさん、いろんなお話をして眠りましょう。……そしたら貴女はきっと、今より更に大きな、偉大な女神様にご成長あそばされると思うのです」
「……わらわが? 今更……そんなことで?」
「はい。そしてどうかその時は、貴女様の御霊も和(にこ)やかに、御心さえ満たされて、その明る日の恵みに海も山も万物の実りがうずたかく、また山並みのように広く奉られ、天の神々から天(あめ)の下の人々までが富み笑う、弥栄(いやさか)の御代でありますよう──あの家の者共、心よりお祈り申し上げます」
「……ん」
少女の顔は見えない。けれどもそれが嘘でないことが分かって、天照は慣れない感覚にばつが悪そうに頷く。
 神として信仰を捧げられる喜び。そして、……それとは別の、無償の、甘やかな喜び。
 いつまでも幼い、えくぼのようなくぼみが残る手でぎゅうと巫女の衣を握れば、少女が嬉しそうに笑む気配がした。
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