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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
中を覗けば子龍は元気よく、綺麗な円を描きながらくるくると回っている。
【4】
昔は……鏡を見るのが嫌いだった。
特にあの頃、鏡面に映る顔は見れば見るほど醜くなっていくようで、まるで呪いがかかっているみたいだった。
けれども見なければ見ないで、今度は恐ろしくなる。もしかしたら知らないうちに、自分が思うよりも酷く顔が歪み、溶けだしていやしないかと不安になる。
そんなことを繰り返しているうちに、自分の中に潜んでいた暗くどろどろとしたものが肥えてうねりを増し、それが胸や腹を食い破って弾け出てくるような夢を何度も見た。
日に日に増していく諦め。
──ああ、これが私という女なのだ。
これでは拒まれても仕方ない。
あの天の御子の黄金の瞳は、きっと、この心奥(しんおう)さえ見透していたのだろう。太陽が世にはびこる悪事を見逃さないように、あの瞳もこの濁った魂の水底に光として射し込み、そしてその穢(きたな)らしさを知って嫌悪したのだ。
内も外も汚い女。
……私はどうして、女として生まれてきたのだろう。
それを問いたかったのに、父は孫の誕生を祝って宴を催し、私は心の居場所をどんどん削られていく。
【4】
昔は……鏡を見るのが嫌いだった。
特にあの頃、鏡面に映る顔は見れば見るほど醜くなっていくようで、まるで呪いがかかっているみたいだった。
けれども見なければ見ないで、今度は恐ろしくなる。もしかしたら知らないうちに、自分が思うよりも酷く顔が歪み、溶けだしていやしないかと不安になる。
そんなことを繰り返しているうちに、自分の中に潜んでいた暗くどろどろとしたものが肥えてうねりを増し、それが胸や腹を食い破って弾け出てくるような夢を何度も見た。
日に日に増していく諦め。
──ああ、これが私という女なのだ。
これでは拒まれても仕方ない。
あの天の御子の黄金の瞳は、きっと、この心奥(しんおう)さえ見透していたのだろう。太陽が世にはびこる悪事を見逃さないように、あの瞳もこの濁った魂の水底に光として射し込み、そしてその穢(きたな)らしさを知って嫌悪したのだ。
内も外も汚い女。
……私はどうして、女として生まれてきたのだろう。
それを問いたかったのに、父は孫の誕生を祝って宴を催し、私は心の居場所をどんどん削られていく。

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