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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
(神様も私達と同じ──寄り添い、すがるものが必要なんだ……)
 少女が二人の姿を定められないように、一心に空を眺める彼らもきっと、その上天の神々がどんな姿をしているか見極めることはできないだろう。──それでも。
 上天を仰いでいた彼らはやがて天啓を受け、国生みを始めた。
 二人は降り注ぐ光の中、天より授けられた長い長い矛を使い眼下の潮をかき混ぜ始める。そしてその矛を引き上げた時に滴った潮で、この無垢な空間にまず、水辺と一つの島を造り上げた。
 そしてその島に降り立つと、神聖な御柱を立て、自らの“生み出す”神威にて大きな社の姿を成さしむ。
『……!!』
 それを見た少女は思わず口を開け、声にならない驚きの声を上げた。
 その社こそ、少女が初めて淡島に訪れたときに見た八尋の大社。今も少女が住まう奥社の、その前面にあるあの社だったからだ。
 二人はそこを住まいとし、原初の男神女神として共に生まれでた兄妹でありながら、誓約を交わし夫婦ともなった。
 (あれは本当に……神様のお住まいだったの……)
未だ少女の目の前にあるのはその社とわずかばかりの草木が繁るだけの殺風景な島だったが、少女は心臓の不思議な高鳴りを感じていた。
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