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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
 そうやって二人の心が離ればなれにならないよう、お互いに足並みを揃えて──やがてその些細な変化に、魂の奥底から、何かが清々しく滲み始めるのを感じた。
 それを伝えると、私の背はとても喜び、讃えてくれた。
 巌のように、常は静かに穏やかにただただそこに在って、山や川を造り、植物や生物達の礎となって日々の安寧をもたらす。風雨に晒されながらもじっと耐えるひたむきさと、命を慈しんでいく優しさと──良いときも悪いときも、悠久を見守り続ける芯からの強さと。それはとても見え難いものであったけれど、それこそが、お前の持つ生来の美しさなんだよ、と。
 『……つまり、……あなたとも同じ』
石動(いする)ぎのない巌を司する女神と、脈々と命を根付かせる地底の巫女と──
『私もまた、あなたと同じように運命の人と巡り会って、その威に違わぬ良い恋をしたの』


 「──神依様? お起きになりましたか」
「……ん」
二度寝でもしていたのか。神依が再び意識を取り戻した時に見た光景は、見慣れた自分の部屋の障子だった。その向こうで人影が動く。
 ……まだ夜明け前。しかし早朝の淡い藍の光が、室内の空気を水底の様に塗り替えていた。
 薄曇り……違う。わずかに湿った空気も感じる。
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