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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
今夜は淡島で、収穫を祝い、新米を高天原へ献上する大事な祭祀が行われる。清めの雨だ。
「失礼致します。──神依様、本日は……」
「……」
す、と障子がわずかに開く。
しかしやってきた禊はそれ以上を進まず、はっとしたようにこちらを見て、半歩を下がると廊下で平伏した。
何故そんなことをするのか分からなかったが、とにかくもう起きなければならない時間らしい。
神依は目を擦りながら、もぞもぞと布団から起き上がった。朝晩は特に冷え込む。
「禊……起きたよ。……どうしたの?」
「いえ……。その……神依様。今朝は何か、稀な夢でもご覧になりませんでしたか」
「ん……夢。うん……見た気がするけど……。どうして?」
「いえ」
変なの、とようやくはっきりしてきた意識の中で、神依は笑う。それは禊にも見慣れた、年相応の幼さが残る笑顔で──もう、瞳に宿っていた緋の色も消えていた。
紅雨。背後でしとしとと落ちる雨に、そんな言葉が思い浮かぶ。
「あっ……日嗣様は?」
「既に奥社へお出でです。……あれはまだ、寝かせておいてやれとの仰せでしたので」
「お見送りしたかったのに──夜までに会えるかな」
「失礼致します。──神依様、本日は……」
「……」
す、と障子がわずかに開く。
しかしやってきた禊はそれ以上を進まず、はっとしたようにこちらを見て、半歩を下がると廊下で平伏した。
何故そんなことをするのか分からなかったが、とにかくもう起きなければならない時間らしい。
神依は目を擦りながら、もぞもぞと布団から起き上がった。朝晩は特に冷え込む。
「禊……起きたよ。……どうしたの?」
「いえ……。その……神依様。今朝は何か、稀な夢でもご覧になりませんでしたか」
「ん……夢。うん……見た気がするけど……。どうして?」
「いえ」
変なの、とようやくはっきりしてきた意識の中で、神依は笑う。それは禊にも見慣れた、年相応の幼さが残る笑顔で──もう、瞳に宿っていた緋の色も消えていた。
紅雨。背後でしとしとと落ちる雨に、そんな言葉が思い浮かぶ。
「あっ……日嗣様は?」
「既に奥社へお出でです。……あれはまだ、寝かせておいてやれとの仰せでしたので」
「お見送りしたかったのに──夜までに会えるかな」

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