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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
「はい。何か口にするものを届けて欲しいと仰せでした。あちらでも準備の間に軽くは出るようですが、やはり豊穣祭ですから──心満たされるものがいいと」
「えへへ……じゃあ、一緒に食べられるようにおにぎり! あとはね──」
心満たされるもの、という言葉がよほど嬉しかったのか──先程までの眠気はどこへやら、頬を染め、指を折りながら着々とおかずを増やしていく主の姿に、荒れた台所の姿を重ねつつ禊は続ける。
「ですがその前に神依様も御支度を」
「支度? でも私は今日は、いつもの巫女服で並んでるだけでしょう?」
「何もなくとも此方にお戻りになって後、日嗣様が初めて執り行う祭祀です。貴女様をその寝惚け眼と寝癖のまま、無様な姿で外にお出しする訳には参りません」
「……」
むう、と押し黙り頭を撫で付け、神依は渋々と布団から出る。
「日嗣様、大丈夫そう? 緊張してなかった?」
「落ち着いた御様子でしたよ。高天原を離れたとはいえ、未だに日嗣ぎの座をお持ちになる唯一の御方です。淡島にいらっしゃる以上は奥社も知らぬ存ぜぬというわけにも参りませんから、こういう機会もますますに増えるでしょう」
「えへへ……じゃあ、一緒に食べられるようにおにぎり! あとはね──」
心満たされるもの、という言葉がよほど嬉しかったのか──先程までの眠気はどこへやら、頬を染め、指を折りながら着々とおかずを増やしていく主の姿に、荒れた台所の姿を重ねつつ禊は続ける。
「ですがその前に神依様も御支度を」
「支度? でも私は今日は、いつもの巫女服で並んでるだけでしょう?」
「何もなくとも此方にお戻りになって後、日嗣様が初めて執り行う祭祀です。貴女様をその寝惚け眼と寝癖のまま、無様な姿で外にお出しする訳には参りません」
「……」
むう、と押し黙り頭を撫で付け、神依は渋々と布団から出る。
「日嗣様、大丈夫そう? 緊張してなかった?」
「落ち着いた御様子でしたよ。高天原を離れたとはいえ、未だに日嗣ぎの座をお持ちになる唯一の御方です。淡島にいらっしゃる以上は奥社も知らぬ存ぜぬというわけにも参りませんから、こういう機会もますますに増えるでしょう」

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