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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
「弁当、急で悪かったな」
「私も楽しいから平気です。簡単なものになっちゃいましたけど──おにぎりとお漬け物と、味噌漬けにしてあったお魚を焼いて、あとはこないだ褒めてくれたお煮しめ」
ちょっと甘いの、と得意気に付け足された言葉は、二人の埋まった距離そのものだ。こちらに戻ってから神依は少しずつ日嗣の好みを探り、形にし、笑顔をもらうことで日常の幸せを噛みしめていた。
一方で、“お母さん”直伝の味も守っている。
「はい、大きい方が日嗣様の」
「ありがとう。ん──美味い。いい塩梅だな」
「本当? 良かった」
米さえ上手に炊ければ後は習った通り。こういう時のおにぎりは、神依が一番大切に結ぶものだった。
とはいえその他の腕前は到底及ばず、まだ要領も悪くて禊や童に手伝ってもらうことも多かったが……ただ単純に、誰かに料理を食べて喜んでもらえるのは嬉しかった。
火も、以前ほど怖いものではない。不意に弾ける薪やぐつぐつと煮立った鍋は怖かったが、禊や童も同じだと聞いて少しほっとした。火事も怖いし、寝る前は火の元の確認を怠らない。
「私も楽しいから平気です。簡単なものになっちゃいましたけど──おにぎりとお漬け物と、味噌漬けにしてあったお魚を焼いて、あとはこないだ褒めてくれたお煮しめ」
ちょっと甘いの、と得意気に付け足された言葉は、二人の埋まった距離そのものだ。こちらに戻ってから神依は少しずつ日嗣の好みを探り、形にし、笑顔をもらうことで日常の幸せを噛みしめていた。
一方で、“お母さん”直伝の味も守っている。
「はい、大きい方が日嗣様の」
「ありがとう。ん──美味い。いい塩梅だな」
「本当? 良かった」
米さえ上手に炊ければ後は習った通り。こういう時のおにぎりは、神依が一番大切に結ぶものだった。
とはいえその他の腕前は到底及ばず、まだ要領も悪くて禊や童に手伝ってもらうことも多かったが……ただ単純に、誰かに料理を食べて喜んでもらえるのは嬉しかった。
火も、以前ほど怖いものではない。不意に弾ける薪やぐつぐつと煮立った鍋は怖かったが、禊や童も同じだと聞いて少しほっとした。火事も怖いし、寝る前は火の元の確認を怠らない。

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