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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
 そういうものを、二人が全部抱きしめられるようになるにはまだまだ時間がかかるけれど──

“──待っているから。”

(……うん)
何故だか今日は、いつもより気分が晴れやかで──それでいいの、と神依はほんの少し、誰かに背を押してもらえた気がした。

 「……」
指先が、胸に下がる玉の緒に触れる。脆く未成熟な──しかし故に、あらゆる未来と可能性を宿す魂の形が連なる。
 こちらに戻らず、常世に残されてしまったあの虹入り水晶の勾玉はどうなっていくのだろう。また別の形になって、廻るのだろうか。
 ……愛しい男の隣で感じる、予兆。
 着なれた巫女装束と稲穂の襷を、下へ下へと指がなぞる。
 きっといつか、“うろ”ではなくなる──目を閉じればその奥で一度、鈴の音が鳴った気がした。



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