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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
『だけど、いつかはあなたも、そうなるのよ』
「……え?」
『あなた達巫女は私と同じ、神を生む力を持っているの。“神婚”というのよ。神と神、或いは神と人が契りを結ぶこと。そして──それこそが巫女の本当の役目』
「巫女の……役目?」
それは既に、禊が語ってくれていなかっただろうか。少女は記憶を辿って、それをそのまま口にしてみる。
「巫女は神々に信仰を、歌や舞を捧げてその魂を慰めるって……違うの? 契りを結ぶ?」
その言葉の意味も分からず目を丸くして首を傾げれば、もう一人の自分はただ頷きまっすぐにこちらを見つめ返してきた。そして、その言葉を刻むようにもう片方の手を少女の胸元に置く。
『──巫女は人の姿のまま神の妻になれるもの。男神には、それを求める権利がある──』
「……?」
『あのね……神を生んだ女は神になれるのよ。祭り上げられるの。そうすれば、悠久の時を愛しい人と添うことができる』
「そ──」
それはつまり、とようやく話の中身を理解した少女は一気に頬を染めて、悪戯そうに笑うもう一人の自分を窺った。
命を生むには必ず男女二人が要る。そしてその性を持った者が命を生むには、必ず──
「わ……、……私、できない」
『どうして?』
「……っ」
「……え?」
『あなた達巫女は私と同じ、神を生む力を持っているの。“神婚”というのよ。神と神、或いは神と人が契りを結ぶこと。そして──それこそが巫女の本当の役目』
「巫女の……役目?」
それは既に、禊が語ってくれていなかっただろうか。少女は記憶を辿って、それをそのまま口にしてみる。
「巫女は神々に信仰を、歌や舞を捧げてその魂を慰めるって……違うの? 契りを結ぶ?」
その言葉の意味も分からず目を丸くして首を傾げれば、もう一人の自分はただ頷きまっすぐにこちらを見つめ返してきた。そして、その言葉を刻むようにもう片方の手を少女の胸元に置く。
『──巫女は人の姿のまま神の妻になれるもの。男神には、それを求める権利がある──』
「……?」
『あのね……神を生んだ女は神になれるのよ。祭り上げられるの。そうすれば、悠久の時を愛しい人と添うことができる』
「そ──」
それはつまり、とようやく話の中身を理解した少女は一気に頬を染めて、悪戯そうに笑うもう一人の自分を窺った。
命を生むには必ず男女二人が要る。そしてその性を持った者が命を生むには、必ず──
「わ……、……私、できない」
『どうして?』
「……っ」