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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第5章 いざない
一粒の雨露(うろ)のように優しく、一閃の雷のように激しく、一日の陽と月のように温かく、静かな煌めきを宿すもの──。
今度は少女が一心に彼女を見つめ返せば、向かい合う自分は……あの万物の母たる女神は寂しそうな笑みを浮かべて、
『……私にはもう、子を成すことができないの』
「……え……っ?」
その神威に反する言葉を告げた。
その、もはや自身の存在を否定するかのような言葉に少女は返す言葉を思い描くことすらできなかった。
それをするには、少女の心は小さ過ぎた。ただ女神は、それすら承知のように続けてくれた。
『……あの後、私はこうして今と同じように……あの方と向かい合って、言葉を交わしたの。
あの時の私はあの方がどうしても許せなくて、私はあの方を傷付ける呪詛の言葉を吐いてしまった。でもそれは……あの方の魂を削り取るのと一緒に、私自身の……女としての魂も一緒に削ってしまった』
「ど……どういう……意味……?」
『知らない方がいい……知ったらあなたは、きっと私のことを嫌いになるから。だから、言わない。ただ私もあの方も、間違いを犯してしまった。恋の間違いを犯してしまった。……ただ、それだけ……』
「こいの……まちがい?」
『……』
今度は少女が一心に彼女を見つめ返せば、向かい合う自分は……あの万物の母たる女神は寂しそうな笑みを浮かべて、
『……私にはもう、子を成すことができないの』
「……え……っ?」
その神威に反する言葉を告げた。
その、もはや自身の存在を否定するかのような言葉に少女は返す言葉を思い描くことすらできなかった。
それをするには、少女の心は小さ過ぎた。ただ女神は、それすら承知のように続けてくれた。
『……あの後、私はこうして今と同じように……あの方と向かい合って、言葉を交わしたの。
あの時の私はあの方がどうしても許せなくて、私はあの方を傷付ける呪詛の言葉を吐いてしまった。でもそれは……あの方の魂を削り取るのと一緒に、私自身の……女としての魂も一緒に削ってしまった』
「ど……どういう……意味……?」
『知らない方がいい……知ったらあなたは、きっと私のことを嫌いになるから。だから、言わない。ただ私もあの方も、間違いを犯してしまった。恋の間違いを犯してしまった。……ただ、それだけ……』
「こいの……まちがい?」
『……』